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SPOT 05

ノスタルジック散策
from 旭川空港

鉄道のまちの歴史を語り継ぐ
懐かしくて、おいしい駅舎
〈旅人宿&田舎食堂 天塩弥生駅〉

from 北海道名寄市

SHORT TRIP Guides - 北海道の小さな旅ガイド edited by コロカル
SHORT TRIP Guides - 北海道の小さな旅ガイド edited by コロカル

かつての駅舎を再現した
ユニークなスタイル

寄市の市街地から車を走らせること10分ちょっと。森を背に畑と草原が広がる、廃線となったJR深名線の駅跡地に、新しい駅舎が誕生しました。列車は来ないものの、さまざまな人がやってくるこの駅の名は、かつてここにあった駅名そのままの〈旅人宿&田舎食堂 天塩弥生駅〉。

鉄道の記憶がつめこまれた駅舎というユニークなスタイルが話題を呼び、2016年3月のオープン以来、全国から幅広い層のお客さんが訪れています。

外観は寒そうに見えますが、室内は最新の工法を採用し、しっかり断熱。冬も薪ストーブだけで十分暖かいそう。

鉄道マニアでなくとも懐かしくなるつくりの食堂。

「廃線の駅舎跡に、新築でしかも昭和40年代をイメージした駅舎を建てたのは、日本広しといえども僕だけでしょうね」と笑うのは、元鉄道員で、「天塩弥生駅 首席助役」の肩書きをもつ富岡達彦さん。かつて駅舎のあった土地を市から買い受け、古い木造駅舎を再現。妻の由起子さんとともに、男女別ドミトリー形式の宿とアットホームな食堂を運営しています。

天塩弥生駅の受付兼物販のkiyoskにて。駅長で奥さまの富岡由起子さんも、父親と弟が元国鉄職員だそう。

「食堂車からのお知らせ」にはメニューが、左端の「寝台車」運行表には宿泊者の数が書かれた黒板。下の本棚にある本や漫画は、どれも鉄道にまつわるタイトル。

食堂メニューは「テヤの日替わらない定食・鶏の照り焼き」(800円)、名寄からほど近いそばの産地、音威子府(おといねっぷ)の黒いそばと咲来(さっくる)そば2種から選べる「かけそば定食」(800円)など、小鉢つきがうれしい定食スタイルがメイン。富岡さんご夫妻手づくりの料理は、どれもほっとするおいしさです。ちなみにテヤとは、天塩弥生駅の鉄道電報略号だとか。

ゴロゴロ野菜と鶏肉がうれしい、日本の純家庭風〈カレーライス〉(700円)はほどよい辛さとコク。

咲来そばの〈かけそば定食〉(800円)。訪れたのは10月、幸運にもちょうど新そばに当たりました。

宿の部屋は、4つのベッドが置かれた男女別のドミトリー形式で、定員10名。グループでの貸し切りも応相談。道産材の木の質感が心地よい部屋には、寝台列車に見立てたこだわりあふれるベッドが。
道北方面へ足を伸ばす旅の拠点になるこの宿のお客さんはさまざまで、バイク・自転車の旅人はもちろん、旧天塩弥生駅を利用していたという年配の方も。

自慢のベッドは、名寄に住む腕ききのオルゴール職人さんが制作。すべて道産材でつくられています。

「北海道ローカル線の中間駅の駅舎」という富岡さんの注文に応えてくれたのは、近郊の下川町で〈キタ・クラフト〉を主宰する建築士の加藤滋さん。建物のイメージを伝えるため、道内に残る木造駅舎を片っ端からふたりでまわったそう。随所にこだわりが垣間見える建物には、廃線となった駅舎のドアやカウンターなども使われています。

ホーム側改札口まで再現されている駅舎は、昔ながらの煙突もノスタルジック。その形状から通称“ハエタタキ”と呼ばれる鉄道通信用裸線電信柱は、置戸町の雑品屋で見つけて粘りに粘って手に入れたもの。ここにあるものひとつひとつにエピソードが詰まっています。

富岡さんは当時炭鉱街だった三笠市の出身。蒸気機関車が走る線路を見るのが大好きな子どもでした。「僕は職業としての鉄道員が好きなので、鉄道マニアではないんです。小さい頃から『この線路をたどっていけば日本全国どこへでも行けるんだ』って思っていましたね」
炭鉱閉山にともなって一家で上京してからもその思いは消えず、高校卒業と同時に念願の国鉄(日本国有鉄道)へ入社。しかし民営化にともない、大手私鉄会社へ転職し、車掌になるという夢を果たしました。

凛々しい車掌時代の富岡さんを、kiyosk横に発見。

転機は、1992年の地球サミット。環境問題があちこちでクローズアップされたとき、富岡さんは故郷北海道の森の現状を知ろうと決め、1997年、畑違いの林業の世界に飛び込みます。
移住先は都会からのIターンを受け付けていた下川町。初めての林業の世界で揉まれながらも、「都会と中山間地域を結ぶ体験型、滞在型のツーリズムをつくりたい」と〈さ〜くる 森人類〉を立ち上げ、下川町の森林体験プログラムをスタート。これが現在下川町で活動する〈NPO法人 森の生活〉の前身となります。

もともと旅人で、若い頃はバイクで野宿旅をしてきた富岡達彦さん。いつか旅人を迎える側になりたいという思いを温めていたそう。

こうした活動の裏には、富岡さんのある危機感がありました。
「どんどん便利になる世の中で感じていた違和感が、下川に来て確信に変わったんです。このままデジタル化が進めば、人は自然の世界に戻れなくなってしまう。人が手を入れ、関わり、汗を流すという仕事にこそ、これからの生きる術があると思ったんです」

同じように、メールやSNSではなく直接会って話すことを大切にしたいという思いが、人の行き交う天塩弥生駅の場づくりにもつながっています。

鉄道グッズや資料が所狭しと飾られた食堂。深川と名寄を結んでいた深名線は1995年廃線に。天塩弥生駅は峠越えの前に当たる駅で、線路保守の要の駅だったそう。

天塩弥生駅の構想から今に至るまで富岡さんを支えたのは、かつてここにあった鉄道の記憶を伝えていきたいという思いと、たくさんの人やものとの、ただならぬ縁でした。
「不思議なことに、土地との出合いから始まって、天塩弥生駅に協力してくれる人たちが続々と現れるんです。ここに飾られているのも、自然と集まってきたものばかり。かつて駅で働いていた人のお子さんや、地域の人たちが駅の思い出を語りに来てくれることもよくあるんです」

現在、同じ旧深名線の沼牛駅の駅舎が再活用に向けて動き始め、天塩弥生駅と同じく加藤さんが補修工事を手がけているそう。これを機にふたつの駅をサテライトにして、旧深名線を見えないレールで結ぶツアーを計画中。富岡さんの挑戦は続きます。 「天塩弥生駅に列車は来ないけど、いろんな人の想いや歴史が乗ってくる。可能性はまだまだあると思っています」

唯一残されていた、旧天塩弥生駅で実際に使われていたベンチ。その昔このベンチで寝たというお客さんが訪れ、ベッドではなくここで寝ていかれたというエピソードも。

あたたかなおもてなしを受けながら訪れた土地の歴史に触れ、人の手がつくりだしてきた風景や記憶に身を置いて、ゆっくりと過ごすひととき。そんな旅の時間が、自分の中に新しい線路をつくってゆくはずです。

Information

旅人宿&田舎食堂 天塩弥生駅

住所 北海道名寄市字弥生166-4

TEL 01654-3-8413、090-8898-0397

食堂営業時間 11:00〜14:00

定休日 不定休

料金 一般客1泊2食付き5500円、1泊夕食のみ4700円、1泊朝食のみ4300円、素泊まり3500円(男女別ドミトリー形式、定員10名)※ストーブ使用日は暖房料200円加算

駐車場 あり

Web https://ja-jp.facebook.com/teya841/

おすすめの立ち寄りスポット ①

ふうれんソフト大福

やわらかさが長持ちし、粘りが強いのが特徴の北海道のもち米〈はくちょうもち〉。この日本一の作付面積・収穫量を誇る名寄市で、地元や道産の素材を生かし、もち米農家が製造を手がける〈ふうれんソフト大福〉(1個140円)は、〈道の駅 もち米の里☆なよろ〉の大人気商品。定番の塩豆やよもぎ、メロンやハスカップなど全17種のなかから、お気に入りを選ぶのも楽しい。時間がたってもモチモチ食感が楽しめるので、旅のおともにもぜひ。

道の駅 もち米の里☆なよろ

住所 名寄市風連町西町334−1

TEL 01655-7-8686

営業時間 9:00~18:00

定休日 元日

駐車場 あり

Web http://www.mochigome.jp/rest_area/

おすすめの立ち寄りスポット ②

レストラン 羊飼いの家

丘の連なる雄大な風景をパノラマで体感できる〈羊と雲の丘〉。レストランでは士別産サフォークラムのメニューを味わえます。サフォークランドと名高い士別。地元産の乾草や穀物で育てられた生後1年未満の羊肉は、特有の香りが少なくやわらかい歯ごたえとほどよい脂でいくらでも食べられそう。〈ラム焼肉定食〉(2200円)でおいしいサフォークラムの風味を堪能してみては。

住所 北海道士別市西士別町5351

TEL 0165-22-2991

営業時間 夏季11:00~18:30LO、冬季11:00~17:30L.O.

定休日 年末年始

駐車場 あり

Web http://hitsuji.tesio.net/cn2/top.html

photo:minaco text:akiko yamamoto

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