facebook
GoodDay北海道 » コロカル『SHORT TRIP Guides』 » 温泉宿と冬を遊ぶ旅 » 木こりが住む山に、お邪魔します!〈アサヒカワモトクラシー〉が届けるマニアックな暮らし体験ツアーへ

 

SPOT 04

温泉宿と冬を遊ぶ旅
from 旭川空港

木こりが住む山に、お邪魔します!
〈アサヒカワモトクラシー〉が届ける
マニアックな暮らし体験ツアーへ

from 北海道旭川市

SHORT TRIP Guides - 北海道の小さな旅ガイド edited by コロカル
SHORT TRIP Guides - 北海道の小さな旅ガイド edited by コロカル

冬だからよりわかる、森のこと

北最大の都市旭川は、道北・道央・道東への中継地点という役割をもち、さまざまな人やモノが集まってくるまち。そんな旭川の周囲50キロ圏に住み独自の活動をする方とともに、土地の“暮らし”を体験できるユニークなツアーを主催するのは、市内の旅行代理店〈まるうんトラベル〉が運営する〈アサヒカワモトクラシー〉。なかでもおすすめなのが、冬限定の〈木こりのガイドと行く半日スノーシューハイク〉です。

そもそも、都市の中に木こり? しかも若い方らしい?? 聞くほどに、興味と期待がふくらんできます。当日は、旭川駅から徒歩5分のまるうんトラベルに集合。同社のガイドマネジャーを務める林 和寛さんとスタッフの小川茉奈恵さんとともに車でしばし移動、木こりが待つ山へと向かいます。

まちからほど近い山道へ入ると、やがて一軒の家が見えてきました。入り口でニコニコしながら待っていてくれたのが、本日のガイド、木こりの荒屋 勤さんです。

現役の木こり、荒屋 勤さん。2011年から奥さまとともにこの山へ移り住み、元農家を手直しして暮らしています。今は2児のお父さん。

荒屋さんは地元旭川生まれ。学生時代、あるきっかけでカナダの先住民の方に出会い、単身カナダへ留学し先住民たちの文化や自然観、精神に触れ、持続可能な暮らしを模索し始めたそう。北海道に戻ってからは有機農業に携わったのち、2011年に実家近くの山を購入。以来この山で木こり暮らしをしながら、〈スプーンのあら屋〉の名前で間伐材を使ったスプーンづくりを生業にしています。

普通のガイドは持たない木こり道具、ナタや斧を背負う荒屋さんの後ろに付いて、いざ山へ。

このツアーが生まれたのは、林さんと荒屋さんの偶然の出会いがきっかけ。荒屋さんを訪ねて一緒に山歩きをした林さんは、「これぞ旭川での灯台もと暗し!」と荒屋さんを誘い、このツアーを企画。「普通のガイドさんからは聞けないお話がたくさん。木こり目線の山歩きを楽しめるんです」と太鼓判を押します。

アサヒカワモトクラシーガイドマネジャーの林 和寛さんは札幌出身。長野県でネイチャーガイドとしてグリーンツーリズムに携わったのち、お子さん誕生をきっかけに旭川へ移住。暮らし目線から旭川のおもしろさを旅人に伝えています。

アイヌ語で「結ぶ」という意味を持つシナの枝。繊維が丈夫なのでロープにしていたそう。これは残った種と苞葉(ほうよう)。風にのってより遠くに種を飛ばせる便利な仕組み。

さっそくスノーシューをつけ、雪に包まれた山へ入っていきます。冬も凍らない川が流れる荒屋さんの山は約7ヘクタール。葉が落ちた冬の森は、一見すると似たような木々が佇んでいるだけに思えますが、木こりの目線は違います。

荒屋さんは、この森から燃料となる薪やスプーンの材料となる木材を調達します。しかし、なんでもかんでも切ればいいというわけではありません。この先も森が水を育み、よい木が育つためには、どう付き合っていけばいいのか。

「ぱっと見はわからないけど、山にはさまざまな種類の木が生えていて、それぞれに役割や力があります」
と荒屋さんが、木1本ごとの名前や特徴を、植物図鑑的ではなく、使える道具としての目線から紹介してくれます。例えばカツラの木は、山の水脈に沿って育つと言われているので、なるべく残すようにしているそうです。

落葉樹〈キハダ〉が「黄肌」という証拠がここに。整腸作用の薬効にすぐれ、胃腸の漢方薬に使われます。赤ちゃんのオムツかぶれにもいいとか。

では、どんな木を切るのか。本業の木こり仕事を拝見します。この日、荒屋さんが切ることにしたのは、雪で先端が折れ曲がってしまったハルニレの木。
「アイヌの伝説ではこの木の枝で火おこしが成功したので火の神様がついていると言われています。スプーンづくりにもよく使う、素材としてもいい木です」

「チェーンソーがなくても木は切れますよ」。まず木の伸びている方向や、切るとどちらに倒れるかも予測して斧で受け口をつくり、その逆側の追い口からノコギリを挽きます。

コロカルスタッフもお手伝い。意外と簡単に切れました。木の上部は倒れる方向にロープで引っ張っています。

中心部分の芯材は濃い茶色。「これは死んでしまった細胞ですが、スプーンは主にこの芯材を使ってつくっています」

あっという間に薪になったハルニレの木。「今日はこれで小川に橋をかけようと思います」。その日その日で内容が変わるのもこのツアーの醍醐味。

1本の木を切ると、荒屋さんはその周辺にある木からどの木を残すかを考えるそう。
「日が当たることを考えると森の空間って実は広くないので、これは必要、これは切ってもいいと先を見ながら、今ある木の取捨選択をしていくんです」と解説。
一度人の手の入ったこの山は、間伐しながら、よりよく木が育つ方向に誰かが手を入れていく必要があります。間伐は、山に生い茂るササ林が雪に覆われ、木が休眠期に入ってヤニを出さなくなる冬場に行われます。
「木を切るときは、月の満ち欠けによる影響も見ているんですよ」
そんなおもしろいお話も聞くことができます。

切ったハルニレの木は、即席の橋として活用されました。自分が守る山の恵みが日々の薪や、スプーンになって生活の糧になる。自然とシンプルにつながった暮らしぶりを垣間みることができます。

そうやって、山を歩きながら、密集して育ちにくくなっている枝を払ったり、間伐し、ときに、鹿や熊に食べられていないか木の状態を見る。広い森の中でそんな地道な作業を続けるのが、木こりの仕事なのです。

光を求めて伸びていく枝。日の当たる空間という目線で木々を見上げると、枝が混み合っているかどうかがなんとなくわかってきます。

まだ新しい鹿の食害痕。これで枯れてしまう木も。このオヒョウの木はアイヌ民族の服になる木ですが、鹿の好物でもあるため現在は北海道で絶滅が危惧されているそう。

荒屋さんのお話を聞きながら歩くと、風景としか捉えていなかった山や森の中にたくさんの機能や関係を感じるようになり、人の体のようにバイオリズムがあるという木々への興味が、じわじわと刺激されています。

「木と兄弟になる方法があるんです」と教えてくれる荒屋さん。惹かれる木を見つけたら、木の脈動を感じながら強く抱きついて挨拶し、秘密を打ち明けるというのがその方法。

「この木。柄がかわいいです」と気になる木に抱きついてみた小川さん。選んだのはホオノキで「誠意ある友情」という意味合いを持っているそう。

「木こりの知恵は、教わったもの半分、自分で身につけたもの半分です」という荒屋さん。この土地に古くから住んでいたアイヌ民族の知恵も、人から聞いたり、本で学んでいます。「アイヌの人たちが食べていたものなど勉強になるので」、旭川にある私設資料館〈川村カ子トアイヌ記念館〉を訪れることも。

そんな約1時間の森歩きはあっという間に終了。荒屋さんからは、木こりの目線とともに、森と人との関係を教えてもらいました。最後に、特別にスプーンをつくる流れを特別に見せていただきました。

「他の木工作家さんからは“そこからやるのか?”と驚かれます」と笑う荒屋さん。今回は一昨年剪定したエゾヤマザクラを使用。

こんな風にナイフで削りながらスプーンの形に近づけていきます。スプーンにする木は一度窯で燻し、防腐効果を増加させるそう。丁寧にヤスリをかけて、仕上げのオイルは山でとれるくるみの油を使用。

「ワックスや化学物質は一切使わず、全部この山のものだけで仕上げるのが僕のこだわり」と話す荒屋さん。すべて自然から分けてもらって手がけるスプーンづくりを続けています。

色もかたちもさまざまで、愛嬌がある荒屋さんのカトラリー。樹種や学名、木の意味もタグに記載しています。オーダーでも制作するほか、庭木を剪定した枝で思い出のスプーンをつくるプロジェクトも行っているそう。

“旭川での暮らし”と、住む人も知らない“灯台もと暗し”をかけたアサヒカワモトクラシー。旅先でその地の新しい魅力を発見し、日常に生かしていきたい思い出を持ち帰る。そんな出会いをつなぐツアー体験が、旭川のまちで待っています。

Information

アサヒカワモトクラシー

住所 北海道旭川市宮下通10丁目3番2号まるうんホール まるうんトラベル内

TEL 0166-22-3398

Web http://motocracy.jp/

〈木こりのガイドと行く半日スノーシューハイク〉

開催 12月下旬~3月末(降雪状況により開催できるか判断)

料金 1名4000円

当日必要なもの:暖かい服装 、防寒靴(防水タイプが最適) 、手袋・帽子など

スプーンのあら屋(荒屋 勤さん)

TEL:090-7055-9504

Web:http://blog.goo.ne.jp/tomslifeismiracle2

〈取扱店舗〉クラフト館

住所:旭川市豊岡13条5丁目4-4

TEL:0166-35-5600

営業時間:10:00〜19:00

定休日:火曜、年末年始

Web:http://www.craftkan.com/

おすすめの立ち寄りスポット ①

川村カ子トアイヌ記念館

上川アイヌの長で鉄道技師としても名を馳せた川村カ子ト(かねと)が設立した、北海道で最も古いアイヌ民族資料館。外観は故砂澤ビッキの作。笹ぶきのチセをはじめ、上川地域で収集された民具を通してアイヌの歴史や文化に触れられます。民芸品の販売も。

住所 北海道旭川市北門町11丁目

TEL 0166-51-2461

入館料 大人500円 中高生400円 小学生300円(団体割引あり)

開館時間 9:00〜17:00(7・8月は〜18:00)

休館日 なし

駐車場 あり

Web http://k-aynu-mh.jp/

おすすめの立ち寄りスポット ②

こま弦

旭川市内2軒の人気店主がお互いの持ち味をかけ合わせて生まれた、旬の味を楽しめるくつろぎの居酒屋。ドリンクメニューはなんと250種類! 心地よく過ごせる空間で、名物の鯛めしをはじめ、じっくり手がかけられた料理を堪能して。

住所 北海道旭川市3条通7丁目ソシアルビルB1F

TEL 0166-25-0426

営業時間 18:00〜25:00

定休日 日曜

駐車場 なし

photo:asako yoshikawa text:akiko yamamoto

SHORT TRIP Guides
北海道の小さな旅ガイド
トップ →

空港で選ぶ、週末トリップ
from 旭川空港
温泉宿と冬を遊ぶ旅
トップ →

WEEKEND TRIP

温泉宿と冬を遊ぶ旅 from 旭川空港

PAGETOP
Copyright 2015
公益社団法人 北海道観光振興機構