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EXPERT INTERVIEW

達人案内 『北海道食べる通信』編集長 林 真由さん

最高のおいしさが待っている!
旬が味わえる場所とは

from 利尻郡利尻町、余市郡仁木町 etc.

SHORT TRIP Guides - 北海道の小さな旅ガイド edited by コロカル
SHORT TRIP Guides - 北海道の小さな旅ガイド edited by コロカル

北海道の知られざる魅力を、その道の達人たちに聞くこのコーナー。
第2回目は『北海道食べる通信』編集長・林真由さんに、
旬に現地を訪ねて味わいたい、注目の食材を教えてもらいました。

人と人との縁によって巡り会う、
おいしい食材

京と北海道の二拠点生活をし、雑誌制作のために道内各地を飛び回っている林さんにインタビューを行ったのは、日本海に浮かぶ利尻島です。
『北海道食べる通信』10月号で特集する利尻の海産物を取材するために、彼女はこの地を訪れていました。

利尻島のペシ岬展望台からの眺め。取材初日、島のシンボルとなっている利尻山の山頂は雲に隠れて見ることはできませんでした。

『食べる通信』とは、食のつくり手である生産者を特集した雑誌と彼らがつくった食べものが定期的に届くという、情報誌と食材をセットで販売するシステムで、現在全国に34誌が刊行されています。

林さんが北海道エリアの『食べる通信』を創刊したのは2015年のこと。もともと十勝出身で、26歳という若さで銀座に〈お取り寄せダイニング 十勝屋〉というレストランを開店した経験もあり、地元の食材の知識については自信をもっていたといいます。

しかし、情報誌で紹介しようと考えたのは北海道全域でした。
企画当初は、ホタテひとつとっても北海道全域に分布しており、地域ごとで異なる旬やその特色については知っているようで実はよくわかっていなかったそう。ただ、逆に知らないからこそ新たに学ぶ知識や、人との出会いにワクワクすると考えた彼女は、自分なりのやり方でおいしい食材を探していくことにしました。

標津町の鮭を特集した『北海道食べる通信』12月号のときの届いたセット。

「『食べる通信』で紹介する食材は、わたしひとりで決めるのではありません。〈食キュレーター〉のみなさんの意見を聞きながら選んでいるんですよ」

林さんが〈食キュレーター〉と呼んでいるのは、食に関わるプロフェッショナルたちのことで、道内で食や農の専門誌をつくる編集長や百貨店の食品部の重役など、そうそうたる顔ぶれです。同郷のよしみでつながりが生まれたり、会合などで知り合ったりなど、出会うきっかけはさまざまだったそうですが、林さんの人柄と熱意が生み出した独自のネットワークによって、確かな品質の食材を情報誌で紹介できる体制が整いました。

もちろん、食キュレーターだけでなく新たな人との出会いが、特集を生み出す原動力となることもあるそうです。2016年10月号で利尻の食材を取り上げることに決めたのは、30年間ライフワークとして道北の写真を撮り続けている写真家の工藤裕之さんと出会ったことが発端となりました。

「道北はいつか紹介したいと思っていましたが、十勝から車で7時間以上もかかることもあって、すぐに特集を組むのは難しいと感じていた地域です。でも、工藤さんにこのエリアを案内していただいて、十勝とはまったく異なる景色があることを知り、読者にも見てほしいと思うようになりました」

利尻と稚内を往復するフェリー。林さんは、工藤さんを案内役にして初めて道北を訪れたとき、旭川空港から、幌加内、音威子府、手塩、稚内と車でまわり、フェリーで利尻へと渡ったそう。利尻へは飛行機でも行けますが、あえて各地をめぐりながら北上したことで、地域の空気を肌で感じることができたといいます。

利尻での取材は、なかなか天候に恵まれませんでした。利尻山を見ることはできないとあきらめかけたとき、一瞬雲間から山頂が現れ、幻想的な風景が広がりました。

人とのつながりとともに、林さんが大切にしているのは現地を訪ね、土地の空気を肌で感じ取ることです。『北海道食べる通信』が編集テーマとしているのは「会いに行きたくなる食物語」。実際にその土地を訪ねてもらいたいというコンセプトのもと、おいしい食材や調理法とともに、地元の人たちがおススメするコアなスポットの紹介もしています。そのため林さんは、毎号現地に詳しい人をスタッフとして起用するようにしているそう。

10月号では、道北を案内してくれた工藤さんが撮影を担当。
また利尻がある宗谷エリア出身で、宗谷の魅力を発信している集団〈SOYA PARTY〉にデザインを依頼しました。

「毎回記事づくりに関わるスタッフが違うので、デザインのテイストはさまざまです。雑誌のセオリーから外れてしまうかもしれませんが、この地域が好きという人が発信したほうが、いいものができると思っています」

今回の取材では、林さん、写真家の工藤さん、SOYA PARTYを主宰しデザイナーとして活動をする尾崎強志さんの3人で現地の情報収集を行いました。

地元の人が、地元の食材の
すばらしさに気づくには。

そして、取材にじっくり時間をかけるのも林さんのやり方です。「長く滞在しないと本当のよさがわからない」という彼女は、記事のメインとなる生産者の取材を納得するまで行っています。

林さんが情報誌で取り上げているのは、ひと癖もふた癖もある生産者たち。その道を極め、おいしいものをつくるための自身の哲学をもっています。これまでの出会った生産者の思い出を彼女にたずねると、今年の6月号で紹介した長沼にあるアスパラ農家の押谷行彦さんについて話してくれました。

『北海道食べる通信』6月号で紹介したのは、数少ないアスパラ専業農家である長沼町の押谷ファームの押谷行彦さん。(写真:伊東 隼)

「押谷さんの哲学とは行動とイコールです。毎年、基礎基本を磨き上げて完璧な仕事をしていくんです。彼によると、それは『つるつるに磨き上げた状態だから傷がわかるのであって、デコボコの状態ではそれは見つかりにくいのと一緒』なんだそうです。だから基礎基本を徹底する。そして最後の1パーセントでわざとミスする。そのミスに自分がどう反応するか、それが自身の壁を超えさせることになると」

フェリーの発着場所である沓形港から車で10分ほどのところにある神居海岸。

利尻で取材したのは、地元で漁獲量ナンバーワンの漁師、小坂善一さん。林さんは取材中に何度も小坂さんのもとを訪ね、丁寧なインタビューを行っていました。

林さんが取材する生産者たちは、第一線で活躍しており、その味の虜になるファンも多く、いずれも経営は順調に見えます。しかし、地域全体を見渡し、日本の農業や畜産業、漁業の現状を考えてみると、さまざまな課題が浮かび上がってくることがあると彼女はいいます。

今回、利尻取材の前に、林さんは利尻へのフェリーが出ている稚内でトークイベントを行いました。このとき地元のスーパーでは、地元名産の昆布があるにもかかわらず、インスタントのダシがものすごく売れているという現状を知ったそうです。

「地元の人が地元の食材の価値を知らないというのは、とても残念なこと。きっと、いままで価値を知る機会がなかったのだと思います。私のようにヨソ者だからこそ利尻昆布の価値がどれほどすばらしいのかがわかるのではないかと」

北海道には、全国の人々が注目するような、おいしい食材が多数あるが、その魅力をまだまだ生かしきれていないのではないか? 林さんは取材を続けるなかで、こうした疑問を抱くことも少なくないそうです。
『北海道食べる通信』をつくることで、読者が現地を訪ねるきっかけをつくり、「ヨソ者が地域の食の魅力を賞賛することによって、改めて地元の食材のすばらしさに気づいてほしい」と彼女は語ります。

今回、林さんが4つ提案してくれた「現地で食べたい旬の食材」にも、情報誌づくりと同じく、ぜひこの地を訪ねてもらいたいという彼女の思いが込められています。

「その土地の空気のなかで、その土地のものをいただくと、より一層おいしく感じられるはずです。例えば完熟したフルーツをその場で食べるのは本当に贅沢なこと。また、旬の時期には、果樹園だけでなく、近くのお菓子屋さんに、プルーンを使ったタルトが売られていたりもするはずです。食材とともに、こうした地元ならではの味わい方も楽しんでほしいですね」

Profile

林 真由(はやし まゆ)

林さんは1979年生まれ。ヤフーを経て、2005年より出身地の十勝にある十勝毎日新聞社に勤務。2006年、新規事業として銀座コリドー街に〈お取り寄せダイニング 十勝屋〉を開店。そこで得た経験を生かそうと2015年6月『北海道食べる通信』創刊。グリーンストーリープラス代表取締役。写真は一瞬だけ顔をのぞかせた利尻富士をバックに撮影。『北海道食べる通信』http://taberu.me/hokkaido/

photo:hiroyuki kudo text:michiko kurushima

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