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GoodDay北海道 » コロカル『SHORT TRIP Guides』 » 達人案内 03 もっとおもしろい北海道へ 作家 池澤夏樹さん » 組織の闇に迫る、推理小説『笑う警官』。物語に沿って札幌まちを散策。

 

SPOT 04

達人案内 作家 池澤夏樹さん

組織の闇に迫る、
推理小説『笑う警官』。
物語に沿って
札幌のまちを散策。

from 北海道札幌市

SHORT TRIP Guides - 北海道の小さな旅ガイド edited by コロカル
SHORT TRIP Guides - 北海道の小さな旅ガイド edited by コロカル

歩いて楽しい、札幌のまちを知る手がかりに

幌のまちを縦横に走る刑事たちが、婦人警官の殺人事件をきっかけに、幾重ものベールに覆われた警察内部の闇に近づいていく—。かつて起こった北海道警察にまつわるふたつの事件をベースに、札幌ゆかりの直木賞作家、佐々木 譲さんが描き出した渾身の警察小説『笑う警官』。映画化もされ、佐々木さんが手がける〈道警シリーズ〉の1作目としても知られる本作には、札幌の地図がそのまま落とし込まれ、実在する地名や番地が次々に登場し、実際の距離や時間の経過にそって物語が進行していきます。

札幌の都心を舞台に、警察個人対警察組織との闘いとして描かれる物語。主人公の警部補、佐伯による洞察と機智に富んだ采配によって、点と点だった複数の事件が次第に線となってつながりはじめ、後半は複数の視点が入れ替わりつつ、緊迫のラストへ向かって加速しながら展開していきます。佐伯や仲間たちの足跡を俯瞰して札幌のまち並みを追いながら読み進めると、さらに臨場感を味わうことができるはず。ページを繰る手が止まらなくなる、緻密に練り上げられた作品です。

「札幌という土地のリアリティに溢れた作品。殺人事件の起こったマンションの住所はもちろん、舞台となる大通界隈、狸小路やすすきのなどの地名や位置関係も実際の通りに描かれているので、行けばここだなとすぐわかるんです。札幌に住む人はもちろん、訪れたことのある人は作品そのものに土地勘とあわせて楽しめるし、これから訪れる人にもおすすめです」
池澤さんは『笑う警官』のおもしろさをそう語ります。

札幌のまちは、碁盤の目状に区画されていて、作中にも登場する〈南4条西24丁目〉のように東西南北が条と丁目の表記なので、特にまちの中心部は、初めて訪れる人でもわかりやすく意外と覚えやすいのです。条と丁目の起点となるのが、毎年2月に行われる〈さっぽろ雪まつり〉や、北海道内の味覚が集結する食の祭典〈さっぽろオータムフェスト〉など四季を通じてイベントが催されている〈大通公園〉と、直交する〈創成川〉。
このふたつの起点の位置にあたる〈さっぽろテレビ塔〉の展望台からは、東西南北それぞれから美しいまち並みが一望できる、人気の観光スポットです。

さっぽろテレビ塔の展望台から西側を望む。大通公園は明治4年、北の官庁街と南の住宅・商業街とを分ける火防線としてつくられました。(photo:札幌市)

「札幌は日本のなかでも珍しいまちで、何もない平らなところにいきなりつくられたという歴史があります。だからずいぶん自由につくることができたんですよ。明治2年から行われた札幌のまちづくりには、開拓使の黒田清隆に招聘されたアメリカの農務長官、ケプロンが指導的な立場にありました。アメリカの田舎町をそのまま持ってくるかたちで、馬車や馬橇の通ることを前提に、直線の広い道がつくられたんです。もちろん、冬の積雪も計算に入れてね」

都会でありながらも摩天楼が少ないため空が広い札幌のまちは、歩いていて気持ちがいいと語る池澤さん。フランスでは徹底してまちの景観が保たれていたそうですが、札幌もまちなみに統一感のあるところが気に入っているそう。

紅葉も美しい、札幌もいわ山ロープウェイ。(photo:札幌市)

札幌のまっすぐなまち並みをのんびりと体験するなら、まちの中心部を走る路面電車、〈市電〉に乗ってみるのもおすすめ。北海道の路面電車は、札幌と函館の2か所のみ。2015年、始発・終点となっていた「西4丁目」と「すすきの」間が結ばれ、まちをぐるりと回るループ化工事が完了。より便利に使いやすくなりました。

1周にかかる時間は約1時間。都心のにぎわい、〈札幌もいわ山ロープウェイ〉や頂上からパノラマの夜景が人気を集める藻岩山のそば、昔ながらのまち並みなど、札幌のもつさまざまな表情を車窓から楽しめます。冬は線路を除雪する〈ササラ電車〉も出動。雪国ならではの風景に出合うことができるかも。

札幌市電。じっくり美しい雪景色を眺めながら移動してみては。(photo:札幌市)

小説に描かれる舞台や歴史に思いを馳せながら、札幌のまちをゆったり散策するのも楽しそうですね。

Book Information

『笑う警官』

著者 佐々木 譲

出版社 ハルキ文庫

出版年 文庫版 2007年

価格 741円

※佐々木譲さん公式サイト〈佐々木譲資料館〉

http://www.sasakijo.com

Information

大通り公園

住所 北海道札幌市中央区大通西1~12丁目

Web http://www.sapporo-park.or.jp/odori/

Information

札幌市電

料金 一律 大人170円 小人90円 地下鉄乗継大人290円 小人150円(ICカード使用可)

Profile

池澤 夏樹(いけざわ なつき)

作家。1945年、北海道帯広市生まれ。小学校から後は東京育ち。30代の3年をギリシャで、4-50代の10年を沖縄で、60代の5年をフランスで過ごし、今は札幌在住。ギリシャ時代より詩と翻訳を起点に執筆活動に入る。1984年『夏の朝の成層圏』で長篇小説デビュー。1987年発表の『スティル・ライフ』で第98回芥川賞を受賞。『母なる自然のおっぱい』(読売文学賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『楽しい終末』(伊藤整文学賞)、『花を運ぶ妹』(毎日出版文化賞)、『静かな大地』(親鸞賞)など。自然と人間の関係について明晰な思索を重ね、数々の作品を生んでいる。
2014年より全著作の電子化プロジェクト「impala e-books」を開始。また「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」全30巻に続き、「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」全30巻の刊行を開始。http://www.impala.jp/

photo:yayoi arimoto text:akiko yamamoto

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