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【冬の北海道で食べるべきグルメは?】ジンギスカンの謎(前編)

ジンギスカンには謎が多い。大草原に突然のごとく現れ、瞬く間に広大なモンゴルを統一し大帝国の基盤を構築。その卓越した戦術からか、北へ逃れた源義経が成り代わったという伝説もあるほど・・・・。いえいえ、そういう話をしたいのではありません。北海道の代表的料理「ジンギスカン」についてです。じつは、こちらのジンギスカンにも謎が多い。地域によって異なる食べ方、独特の形状の鍋、そもそもジンギスカンという名前の由来は何なのか?羊料理の本場モンゴルにジンギスカンはあるのか?日に日に冷え込みが厳しくなる北海道ですが、体の芯から温めてくれるジンギスカンの、さまざまな謎について迫ってみましょう。

「ツキサップじんぎすかんクラブ」のタレ付けタイプのジンギスカン

タレを付けるのは後か先か? 異なる食べ方の謎。

現在、ジンギスカンの食べ方には、大きく分けて2つのタイプがあります。1つは札幌など道央と道南地方を中心に食べられている、肉を焼いてからタレを付ける「タレ付けタイプ」。もう1つは滝川など道北地方を中心に食べられている、あらかじめタレに漬け込んだ肉を焼く「味付きタイプ」です。

現在の羊ヶ丘展望台

異なる特徴を持つ両者ではありますが、ともに共通しているのは戦前の羊毛国産化の国策で設けられた農商務省の種羊場に由来するということ。1908年(明治41年)に開設された札幌の月寒種畜牧場(現在の羊ヶ丘展望台周辺)と1918年(大正7年)に開設された滝川種羊場です。

 

当初は主に軍隊や警察などの制服に用いる羊毛を取るのが目的でしたが、毛を刈った後の肉も活用することが模索され、その流れの中から国内における羊肉料理法、すなわちジンギスカンの原型が生まれてきたものと考えられています。

 

しかし、当時の肉は非常に固く、また羊肉自体が馴染みのないものでしたのでほとんど広まることはありませんでした。本格的に食べられるようになるのは戦後の食糧難の時代を経て、1959年(昭和34年)の羊肉輸入自由化により海外の安くて良質な羊肉が大量に入ってきてからとなります。

 

その後、札幌では焼いてからタレを付ける「タレ付けタイプ」、滝川では先にタレに漬け込んでおく「味付きタイプ」が主流となっていくわけですが、そのルーツについてじっくりと探っていきましょう。

ルーツは満州の野戦料理か? タレ付けジンギスカン誕生の謎。

それではまず、タレ付けタイプの草分けとされている札幌市の月寒地区にある「ツキサップじんぎすかんクラブ」を訪ねてみましょう。このお店は、北海道農業専門学校を運営する八紘学園の農場地の中にあります。

焼いてからタレを付けて食べるタイプのルーツは、旧満州国や樺太などで食べられていた野戦料理といわれます。八紘学園の創設者・栗林元二郎は、旧満州より北海道月寒地区に移住する際に、その料理に用いられていた鉄鍋を持ち帰ったと伝えられています。月寒で飼育されていた綿羊を食肉用に転用し、その鍋で焼いてタレを付け「ジンギスカン料理」として振る舞まったところ大好評。これを普及させるため1953年(昭和28年)に「成吉思汗倶楽部」を発足させます。後に、この料理法は「月寒(札幌)式ジンギスカン」と呼ばれるようになり、札幌圏以南・道南地方などで多く食べられるようになったといわれます。

羊肉には生後1年未満の仔羊の肉を意味する「ラム」と1年以上の「マトン」とがありますが、ここではマトンを使用。成熟し羊本来のコクと旨味が凝縮された味にこだわっているからこそ、ということでした。

 

ツキサップじんぎすかんクラブ

札幌市豊平区月寒東3条11丁目2-5八紘学園農場内

TEL:011-851-3341

http://www.tjc1953.com/

あのかたちには何の意味が? 独特の形状の専用鍋の謎。

話の流れからすると、次に「味付きタイプ」のルーツをひも解くのが順当ではあるのですが、それは一旦置いておいて、先にあの独特の形状を持つ鍋について探ってみたいと思います。というのも、岩見沢市栗沢町にある「ジン鍋博物館/ジン鍋アートミュージアム」が、本来は冬期間休業にも関わらず特別に中を見せてくれるというのです。何をさておいても、駆けつけてみようではありませんか!

正面入口には「私設B級博物館」とあります。なんとも運営の苦労が伝わってくるような名称です。思わず応援したくなりますね。

ここには約250点のさまざまなジンギスカン鍋が展示されています。出迎えてくれた溝口雅明館長が、一点一点について丁寧に解説してくださいました。

ジンギスカンの原型となったのは、中国の羊肉料理「鍋羊肉(カウヤンロウ)」といわれます。これは、「ロストル」と呼ばれる格子状の鉄鍋でもうもうと煙を出しながら、豪快に肉を焼く料理。このイメージが大正から昭和初期に日本に伝えられ、独自に発展したものであろうと思われます。

現在、ツキサップじんぎすかんクラブをはじめ、肉を焼いてからタレを付けるタイプで多く使われているのが、このスリット(切れ目)の入った鉄鍋です。七輪に載せ、高温で肉を煙で燻しながら焼くことで美味しさを引き出すことができます。

一方こちらは、味付きタイプで多く使われる鍋。ご覧のようにスリットがありません。この鍋の場合、脂が直接火に落ちることがありませんので、煙の発生が抑えられます。スリット入りは主に屋外での使用に向いているのに比べ、スリットなしは屋内に適しています。山型に盛り上がった中央部から滴り落ちる脂が、周辺部の野菜に絡み美味しく仕上げてくれるのです。

現在は、家庭内のガスコンロで手軽に利用でき、手入れもラクな表面が平らなタイプも市販されています。

ジンギスカン用の鍋は、大きく分類するとスリットあり・なしの2種類ですが、素材も鉄以外に陶器製やアルミ製のものなどさまざま。溝の形状やデザインも、驚くほど多彩です。

冬期は休館中ですが、4月末~10月末までの土日が開館日ですので、雪が解けたら、ぜひ一見することをおすすめします。

 

ジン鍋博物館/ジン鍋アートミュージアム

岩見沢市栗沢町万字仲町8番地

TEL:090-7054-0971(溝口館長の携帯電話)

◎入館料:無料。「寄付」は大歓迎とのこと

https://www.facebook.com/jinnabeartmuseum/?fref=ts

 

 

 

(後編へ続く)

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