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【冬の北海道で食べるべきグルメは?】 ジンギスカンの謎(後編)

ジンギスカンには謎が多い。大草原に突然のごとく現れ、瞬く間に広大なモンゴルを統一し大帝国の基盤を構築。その卓越した戦術からか、北へ逃れた源義経が成り代わったという伝説もあるほど・・・・。いえいえ、そういう話をしたいのではありません。北海道の代表的料理「ジンギスカン」についてです。じつは、こちらのジンギスカンにも謎が多い。地域によって異なる食べ方、独特の形状の鍋、そもそもジンギスカンという名前の由来は何なのか?羊料理の本場モンゴルにジンギスカンはあるのか?日に日に冷え込みが厳しくなる北海道ですが、体の芯から温めてくれるジンギスカンの、さまざまな謎について迫ってみましょう。

(前編はこちら)

山で焼いて溝で煮る? 味付きジンギスカンの謎。

次に「味付きタイプ」について見ていきましょう。北海道でもっとも老舗として知られるのは、滝川市に本社を置く「松尾ジンギスカン」。羊肉輸入自由化を3年後に控えた1956年(昭和31年)、家畜商の松尾政治によって創業されました。

                                        

開業当時、北海道立種羊場(旧農商務省滝川種羊場)が推奨していたのが、羊肉をタレに漬け込んだ後で焼くスタイルでした。松尾はそこに伝わる調理法を生かし、美味しさを引き出す工夫を重ねたとされています。

(写真提供:松尾ジンギスカン)

松尾ジンギスカンがおすすめしているのが、専用鍋の中央の盛り上がった「山」の部分で肉を焼き、その肉汁と脂が滴り落ちる周辺部の「溝」でタレを加えて野菜を煮る、という調理法です。直営店で本格的に味わえるのをはじめ、家庭用パックをホットプレートやフライパンで調理する方法がホームページで詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。

(写真提供:松尾ジンギスカン)

かつての種羊場に始まる、滝川における羊飼育の伝統は現在、「松尾めん羊牧場」として引き継がれています。この牧場で生産される羊肉はまだまだ生産量が少ないため、貴重な肉として首都圏の北海道物産展等で、さまざまな部位のラム肉として販売するほか、将来的には羊肉料理専門店の高級素材としての活用が期待されています。100年におよぶ滝川での羊肉生産の歴史を継承し、滝川産サフォークによる新たな羊肉文化の発信へ向け取り組んでいるところです。

 

松尾ジンギスカン本店

滝川市明神町3丁目5-12

TEL:0125-22-5200

http://www.matsuo1956.jp/howto/grill/

こちらは長沼町が力を入れている「長沼ジンギスカン」の3種食べ比べが味わえるという、「ながぬま温泉」のジンギスカンコーナーです。

長沼町を代表する3つの精肉店が、それぞれ工夫を凝らしたタレに漬け込んだロースマトン(脂身がほとんどない羊肉)の味を食べ比べながら楽しむことができます。

 

ながぬま温泉

夕張郡長沼町東6線北4番地

TEL:0123-88-2408

https://hpdsp.jp/naganuma-onsen/

 

 

もうひとつ特筆すべき味付きタイプがあります。その名も「なよろ煮込みジンギスカン」。

名寄市の味付きジンギスカンは他の地域よりもタレの量が多く、焼くというよりは「煮込む」タイプです。肉と野菜、うどん等を一緒に入れてグツグツ煮込む方式で、極寒のまち・名寄では昔からこのようにジンギスカンを食べてきたそうです。

 

そこで、まち独自のジンギスカン文化をよりわかりやすく広めるため「煮込みジンギスカン」と命名し、東京のイベント会場で試験的に販売したところ大好評。地域ならではのソウルフードとして、積極的にPRしているところです。

 

NPO法人 なよろ観光まちづくり協会

名寄市東1条南7丁目1番地10 駅前交流プラザよろーな1F

TEL:01654-9-6711

http://nayoro-kankou.com/wp/

モンゴル料理との関係は? 名前の由来と最後の謎。

最後に、そもそもの謎「ジンギスカン」という料理名の由来について見ていきたいと思います。かつては、「モンゴル帝国を率いたジンギスカン(チンギス・ハーン)が遠征の陣中で兵士のために作らせた」とか、まことしやかに説明される場合もあったようですが、これはまったくの俗説です。

この料理を「ジンギスカン」と名付けたのは、旧満州国初代総務長官を務めた駒井徳三といわれています。おそらくは、羊といえばモンゴル、モンゴルの英雄といえばジンギスカン、さらに豪快に肉を焼くイメージが重なって想起されたのも思われますが、諸説いろいろありはっきりとしたことは不明です。

この長沼ジンギスカンのポスターにあるように、ジンギスカンと実際のモンゴル料理とはかけ離れており、ジンギスカンは北海道で独自に発展したオリジナル料理なのです。モンゴルの遊牧民にとって羊の脂は貴重品であって、焼いて落とすようなことはせず、「煮る」か「蒸す」という調理法で無駄なく食べるといわれています。

モンゴル伝統料理「チャンスンマハ」(取材協力:東洋肉店)

 

モンゴルの代表的な料理に「チャンスンマハ」という羊肉の塩茹料理があります。「チャンスン」とは煮る、「マハ」とは肉という意味になります。

「ホルホグ」という骨付き羊肉と野菜の蒸し焼きも、よく知られています。上の写真は、スープごと盛り付けたもの。中国の内モンゴル自治区出身の那爾蘇(ナルソ)さんが、札幌で営む中華&アジア料理店「ゴビィ」でも味わうことができます。

GoBee (ゴビィー)

札幌市北区北12条西3丁目4 ノールシャンブル1F

TEL:050-5595-2708

 

誤解のないように繰り返しますが、モンゴルには北海道のジンギスカンのような料理はなく、両者はまったくの別物です。ただ、「羊料理」という観点で眺めた場合、「煮る」という一点に煮込みジンギスカンに通じる、一縷の共通点を感じてしまいました。

 

感じているだけでは物足りないので、モンゴル大使館へ問い合わせてみることにしましょう。大使館では、料理について専門的に答える立場にはないという断り付きながら、次のように話してくれました。

 

“伝統的なモンゴル料理”においては、たしかに「焼く」ことはせず、「煮る」か「蒸す」がほとんどだったと思われますが、さまざまな調理器具が普及した今日の家庭料理においては「煮る」や「蒸す」はもちろん、「焼く」ことも「炒める」こともある、ということでした。

ということは、まったくの別物とはいいながらも、羊肉を美味しく食するための知恵として、いつの日か国を越えた新しい食文化が生まれてくるかもしれませんね。

 

 

ジンギスカンにまつわる謎について、さまざまな観点から見てきたわけですが、羊肉には体をポカポカに温める効果があり、脂肪が体内に吸収されにくく、ヘルシーなことでも折り紙付き。この冬、北海道でさまざまなタイプのジンギスカンを存分にお楽しみください。

 

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