HOKKAIDO
羊と過ごし、線路を走る、おとなの冒険。
北海道は読めない地名が多いと言われますが、この名前はどうでしょう?美深町の仁宇布、読み方は「ニウプ」。一度行ったら、きっと忘れられない名前になりますよ。
白樺林と羊たちが迎えてくれる
ファームイン・トント
道北エリアの美深町。市街地から山の方へ向かうと仁宇布(ニウプ)地区があります。この名前にピンと来た方は、村上春樹さんのファンかもしれません。美深町仁宇布は、「羊をめぐる冒険」のモデルになった町では?と言われています。滝の多い仁宇布には「十六滝」という観光スポットがあり、小説に登場するのは「十二滝町」。このほかにもいくつか符合する点があり、実際に仁宇布を訪ねてくるハルキストの方たちもいるそうです。
そんな仁宇布で20年以上続く、人気の農家民宿が「ファームイン・トント」です。柳生佳樹さんと貴子さんは、羊の飼育とジャガイモなどを生産する「松山農場」を営むご夫婦。仁宇布を選んだのは、「羊にちょうどいい放牧地と天然の白樺林があったから。この風景を見てほしくてファームインを始めた」と佳樹さん。
「トントはフィンランドに伝わる森の妖精。もう一つは、誰でもトントンとノックしてねという意味で名付けたの」と貴子さん。
テラスに出ると、目の前に広がるのは一面の牧草地。群れで行動する羊たち、しかも、かなり活発にあちこち動くので、その姿を追うだけでも時間が経つのを忘れます。
松山農場では、肉用と乳用を合わせ、約400頭の羊を飼育しています。ファームイン・トントの夕食は、農場自慢の「ジンギスカン」。肉厚のきれいな羊肉は、健康に育ったことがよく分かります。柔らかいラムと味の深いマトン、その両方の良さを持つ「ホゲット」が味わえるのも、羊牧場ならではです。
この日は残念ながら、星は見えませんでしたが、まわりに明かりのない仁宇布では、まさに“降る星”が見られるのだとか。宿の中には常連客の方が作った「羊の本」コーナーもあるので、静かに更ける夜を“羊”と過ごすのもいいですね。
線路は続く、木立のトンネルへ
トロッコ王国美深
朝は、トントのまわりに広がる畑を眺めながらお散歩。今年はソバを植えたので、8月には真っ白に咲くソバの花が楽しめるそう。羊のソーセージや羊乳のヨーグルトなど、おいしい朝ごはんをたっぷりいただいて、次の目的地へ向かいます。
トントから車で5分ほど。仁宇布の自然を体感できる「トロッコ王国美深」へ。1985年に廃止された旧国鉄・美幸線。その線路の一部をそのまま使って、原動機付きトロッコで走ります。
線路の上を自分で運転できるテーマパークは、全国でもここだけとか。駅のホームや信号、踏切、鉄橋などが、営業当時のままというのも、鉄道ファンにはうれしいところ。
自分でアクセルとブレーキを操作し、森へ続く線路を走り出します。風を切って、白樺林を抜け、鉄橋を渡る爽快感!ガタンゴトンの響きが、こんなに心地よく感じられるというのも発見です。
行きは少しドキドキしますが、帰りは運転にも慣れて、まわりの景色を楽しむ余裕も。往復10kmで時間は40分ほどですが、あっという間に感じる楽しさでした。
旅の締めは、道の駅「びふか」へ。ここでしか食べられないソフトクリームが「メリーさんのひつじソフト」。
そうです!松山農場の羊乳を使ったソフトで、4月~10月の限定商品。羊乳はクセがありそう?いえいえ、濃厚なのに後味スッキリのおいしさです。またトントへ戻って、羊たちに会いたくなりました。
美深をめぐる冒険の旅。この夏、おすすめです。
NPO法人トロッコ王国美深
美深町字仁宇布 駅舎コタンコロ・カムイ
TEL:01656‐2‐1065
◎ファームイン・トント宿泊+トロッコ乗車券がセットになった「とくとくプラン」もあります!
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