GoodDay北海道 » これぞ!HOKKAIDO » いまも息づく、小樽のもち文化。 歴史とともにある味を訪ね歩いてみよう。
これぞ!
HOKKAIDO

いまも息づく、小樽のもち文化。 歴史とともにある味を訪ね歩いてみよう。

小樽名物といえば、まず思い浮かぶのが“寿司”や“海鮮丼”。それから、“ジンギスカン”“ザンギ”“ぱんじゅう”など、一風変わったご当地グルメの数々。ところが意外と多いのが「お餅屋さん」とのこと。これは何か、この街ならではの物語があるのでは?ということで早速、小樽を訪ねてみました。

大雪の小樽は、街中まるごと“雪見大福”のよう。

札幌から国道5号線を一路小樽へ。取材した日は大雪で、まるで街中が白い“雪見大福”のようなお餅で覆われているかの状態。そして、市街地に入った辺りで現れる「もち専門」の看板。オープニングから、いきなりワクワクさせてくれる展開です。しかも、昔ながらの何とも味わい深い店構え。つくられたレトロではなく、日々の暮らしと結びついた庶民の歴史が息づいているのを感じさせてくれます。

では、いったいどんな歴史なのでしょうか?

今年は「北海道命名150年」の年。じつは小樽には命名前、つまり蝦夷地と呼ばれていた時代から北前船(きたまえせん)と呼ばれる交易船が本州との間を頻繁に往き来し、米や海産物を運んでいたという古い歴史があります。

絵馬に描かれた北前船(協力:小樽市総合博物館運河館)

 

さらに、明治初期の開拓の時代から小樽は、北海道の海の玄関口として栄えるようになり、たくさんの人や物資が行き交い、たいへんな賑わいを見せるようになります。

北海道から送り出す物資とは、海産物をはじめ、大豆・小豆・砂糖(甜菜糖)などの農産物。入ってくる代表が米です。「小豆」「砂糖」「米」ときてピン!と来たあなたは、なかなかスルドイ。そうです、餅づくりの原材料が見事に揃っているではありませんか!

北前船の積荷(協力・小樽市総合博物館運河館)

 

その後、小樽と札幌や産炭地との間に鉄道が敷かれ、同時に小樽運河の建設も進められ、港はたくさんの労働者であふれます。荷の積み卸しなど力仕事に従事する彼らにとって、手軽に摂れるエネルギー源として好まれたのが、餅だったということです。モチろん諸説はありますが、安くて腹持ちの良い餅を頬張りながら、ヨイショ!と荷物を担ぎ上げる力持ち達の姿を想像してみるのは楽しいですね。

大正10年頃の小樽運河(協力・小樽市総合博物館運河館)

 

このように、古くから商業港として栄えた小樽は、お寺や神社が多いのも特徴です。お祝い事やお祭りに餅はつきもの。さらに冠婚葬祭でのお供え餅の需要もあり、街の各所に餅屋が増えていったということです。

創業はなんと150年以上前。
雷除志ん古(かみなりよけしんこ)は小樽一番の老舗。

歴史のお勉強はこのくらいにして、まず訪ねてみたのは、JR南小樽駅から徒歩5分ほどにある、現存する小樽一番の老舗「雷除志ん古(かみなりよけしんこ)」。創業は江戸時代の後期で150年以上の歴史はあるはずとのことですが、正確にはよくわからないそうです。

それにしても“雷除”とはシビレてしまいそうな店名ですが、由来を聞いてみたところ、その昔、雷の型を彫った木型をお餅の成形用に使っていたことにちなんだらしいとのこと。

大福餅は4代目を継いだ店主の藤野戸(ふじのと)さんが、毎朝4時過ぎから作りはじめ7時前にはショーケースに並べられます。熟練の技で手作りされたシコシコとしたお餅の食感とスッキリとしたあんこの甘さは絶妙で、お昼前にはほぼ売り切れるといいます。

白、赤、豆、ごま、草(ヨモギ)の5種類の大福が基本商品。売り切れるのが早いため、事前に電話予約を入れてから買いに行くことをおすすめします。

お店のすぐ近くに残る「小樽教育発祥之地」の碑。かつて、ここには小樽で最初の小学校として知られた量徳小学校(1873年開校-2012年閉校)がありました。入学式や卒業式など記念行事に欠かせないのが、縁起物のお餅。味を覚えた小学生が大人になってからも食べ続けていることが、長年に渡り愛されている理由ともいえそうです。

お店では、吉田久美子さんが笑顔で迎えてくれます。最近は、地元よりも道内各地や海外から訪れるお客さんが多いとのことでした。

 

 

 

雷除志ん古

小樽市若松1丁目5-13

TEL:0134-22-5516

営業時間:7:30~品切れまで/日曜定休

みなとまちには、みなともち。
草べこもちは、クセになること間違いなし。

花園4丁目。国道5号線から山側へ一本入った落ち着いた通りにあるのが、創業70年を迎える「みなともち」。この場所に移ったのは、50年ほど前とのこと。以前はお茶屋さんだったという風情ある建物は近隣でもひときわ目を引きます。

このお店のイチ押しは、クセになる味と評判の「草べこもち」。生のヨモギにこだわった香りと食感は、粉末や乾燥ものでは出せない本物の味わいです。農家の方に採取してもらったヨモギをその日のうちに茹でて使うのだそうです。緑と白の取り合わせが、通常の黒べこもちと並び、ショーケースに華やぎを添えています。

こちらも人気商品のひとつ、「串だんご」。うるち米と上新粉を混ぜ合わせ、生醤油で漬け込んでから甘塩っぱいタレを絡ませます。コシの強い食感とさっぱりとした控えめな甘さが特徴です。

店主の中山豪さんと吉村公乃さん。お寺での弔事慶事や、町内会のお祭り、幼稚園の入園・卒園式などの際にはたくさんの注文をいただいているとのこと。地域とともにあり続ける歩みを感じさせてくれます。

みなともち

小樽市花園4丁目10-13

TEL:0134-23-2555

営業時間:8:30~17:00(または完売まで)/日曜・祝日定休

つきたてにこだわる、ツルヤ餅菓子舗。
風格あるレンガの煙突がお店の目印。

“花銀”こと花園銀座商店街を通り抜け、少し歩くと見えてくる古風な佇まい。「餅のツルヤ」と書かれたレンガづくりの煙突が、お店のシンボルのようにそびえ立っています。店主の奥様の高橋多江子さんのお話では、明治の終わりか大正の初め頃の創業らしいとのことなので、この地での歴史は110年ほど。近所にある「水天宮」とは創業以来のおつきあいで、お正月やお祭りにはお供え餅をいまも欠かさず納品しているとのことです。

白、豆、草の大福は、長年の固定客に愛され続けている定番商品。もうひとつの人気商品といえるのが「切り餅」です。つきたての餅本来の匂いと味がしっかりと生きています。保存料は一切使用せず、すぐに硬くなりやすいので、その日のうちに食べきれない場合は、ラップに包んで冷凍保存するようにおすすめしているそうです。

そのほかにも、「素甘」や「田舎まんじゅう」をはじめ、「桜餅」「べこ餅」「柏餅」など、季節ごとの餅菓子を用意しており、ショーケースはいつも旬の色取りにあふれています。

早いときは、朝3時半頃から仕込みが始まります。白い蒸気がモヤモヤと上がってくる様子は、モチ米が蒸し上がったのを知らせてくれているかのようです。今日も、つきたてのおいしいお餅が店頭にビッシリと並ぶことでしょう。

ツルヤ餅菓子舗

小樽市花園3丁目16-3

TEL:0134-22-2609

営業時間:8:30~20:30/水曜定休

GWには、お餅訪ね歩きの旅をぜひ!
端午の節句には、べこ餅を味わってみよう。

取材の都合上、訪れたのが2月の大雪の日でしたが、5月のゴールデンウィークには雪も消え、小樽はいちばんの行楽シーズンを迎えます。5月5日といえば、端午の節句。端午の節句といえば全国的には柏餅が食べられますが、北海道では「べこ餅」が主流なのです。

べこ餅は今回のお店でも何度か登場しましたが、一般的には黒砂糖と白砂糖を練り込んだツートンカラーの木の葉形が特徴。それ以外にも、ヨモギや餡を使ったものがあり、形もまたさまざま。お餅の訪ね歩きは、味わい深い楽しさにいっぱい出会えそうですね。

この記事が関連付けられているタグ: 歴史 グルメ 小樽・ニセコ近郊エリア アート・歴史・文化に触れる グルメ・地酒を楽しむ(ビール・ワイン・日本酒・焼酎)
PAGETOP