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キュン旅北海道

18-19年冬号

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寒いからこそ、なおのこと温泉の温かさが身に染みるこの季節。
近年はプチ湯治という言葉も登場し、体はもちろん、心のリラックスを求めて温泉を訪れる人が増えています。
遠くてもわざわざ訪れたくなる魅力あふれる温泉と宿、そして人…。今回は、道北の豊富温泉を訪ねました。

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保温保湿効果が高い、
世界でも珍しい天然のオイルバス

 日本最北端の温泉郷・豊富温泉。世界的に見ても希少な油分を含んだ泉質で、湯上りにクリームやローションをつける必要がないほど肌がしっとり。弱アルカリ性で肌に優しく、美肌効果が高いことから、アトピーなど皮膚疾患にも良いとされ、全国から療養に訪れる人が後を絶ちません。
 豊富温泉の始まりは大正時代。石油の試掘を行っていた際、温泉が湧き出たのがきっかけでした。やけどや漆かぶれにいいと評判となり、昭和に入ってすぐに旅館などが建ち並ぶ温泉街が誕生しました。
 近くに炭鉱があった頃は、最盛期で1万5000人が町に暮らしていましたが、閉山され、どんどん人口は減少し、今では4000人ほど。8軒あった宿泊宿も3軒となり、衰退の一途をたどっていた豊富温泉ですが、近年再び脚光を浴び、少しずつ活気を取り戻しています。そのきっかけを作ったのが川島旅館の3代目、松本康宏さんです。

「かつての賑わいを取り戻したい」
その想いが町や人を動かす

 松本さんは、子どもの頃から「3代目だよ」と先代の祖母に言われ、札幌の料亭での修業などを経て、24歳で豊富へ。厨房で料理を作る日々の中、「豊富温泉はこれでいいのか」という想いが湧き上がってきます。30歳の時、他県で温泉街活性化のために頑張ってきた人たちの話を聞き、「豊富には豊かな食材もあるし、可能性はまだまだある。何とかできるはずだ」と動き始めます。
 まずは、仲間を集めるところからでした。松本さんの話を聞き、賛同してくれた仲間と「豊富温泉はじめは6人衆」を立ち上げ、温泉のPRを各地で行ったり、冬のイベント「豊富温泉雪あかり」などを実施。また、北海道や経産局などにも働きかけ、マスコミなど外から町がクローズアップされるようになると、町も湯治客が快適に過ごせるようにとコンシェルジュデスクを設置するなど積極的に動き始めます。

女将の女性らしいアイデアを取り入れ、
大胆にリニューアル

 町のため、旅館のために走り続ける松本さんの強力なパートナーが女将の美穂さん。「僕は料理しかできないけど、彼女は人脈も知識もセンスもある。彼女がいれば町が変わると思いました」と松本さん。環境デザインを学び、まちづくりやコンサル業務の仕事をしていた美穂さんの経験は、まちおこしや川島旅館の運営にも大いに生かされています。
 2016年にリニューアルした川島旅館は、モダンなデザインでありながら、温かみのある木の風合いを生かした造り。吹き抜けのラウンジには大きな薪ストーブがあり、赤々と燃える火を眺めながら、宿泊客同士が交流を深めることができます。2階には、本好きの美穂さんがセレクトした書籍が並ぶライブラリーも。女性やファミリーにも気軽に来て、くつろいでほしいという美穂さんの想いとアイデアが詰まっています。「スタッフや宿泊客の方たちが交流できるのが旅館の良さ。1人で湯治にいらっしゃっても、孤独を感じることがないように。それは、皆さんから『温泉母さん』と呼ばれ、慕われていた先代の女将から学んだことです」と松本さん。
 湯治目的で訪れる人が多いことから、湯はもちろん、食事も大切だと考え、料理にもこだわりが。「食材の宝庫であることから、この町は豊富ともいわれていて、本当に良い食材がたくさん手に入るので、素材の味を生かした料理を提供しています。ですから、基本的に薄味。添加物も極力使わないようにしています」。食堂スペースは、ブランチ&カフェとしても営業しており、宿泊客以外にもヘルシーな朝食を提供。
 泉質の良さはもちろん、旅館の雰囲気や料理の良さに惹かれて、近年は1人で2, 3泊していく女性客が増えているそう。一度訪れるとまた戻ってきたくなる、そんな雰囲気が魅力的な旅館です。

旅館業にとどまらず、
特産品を用いた加工品もプロデュース

 人口の約3倍の牛がいる豊富町は、まさに酪農王国。松本さんは町の魅力を食からも発信すべく、豊富町の牛乳を使ったプリンやバターも製造しています。テレビや雑誌でも取り上げられ、現在では全国から注文が殺到しています。
 「湯あがり温泉プリン」を作り始めるきっかけは、テレビで廃棄される牛乳のニュースを見て、豊富の美味しい牛乳が廃棄されるのは嫌だと思ったからだそう。最初は、宿泊客に食後のデザートで提供していましたが、お土産にしたいという声があまりにも多く商品化。牛乳本来の美味しさが凝縮された、優しい味わいです。
 「Butter Field」は、健康な牛から搾った豊富牛乳の無塩バターを使ったフレーバーバターです。鮭ぶし、うに、利尻昆布など、珍しい和テイストのものから、有機フルーツ、ハーブが入ったものなど全部で16種類。「鮭ぶしやうにはご飯にのせて、醤油を一滴かけて食べるとやみつきになりますよ」と松本さん。バター醤油ご飯は旅館の朝食でも提供しており、人気が高いそうです。
 「豊富の温泉や食など、この素晴らしい宝を未来へバトンタッチしていけるよう、これからも頑張ります」と松本さん。豊富町の魅力を発信していく松本夫妻の取り組みはまだまだ続きます。

川島旅館

電話/0162-82-1248 所在地/豊富町字温泉
連泊プラン:1泊2食付き8640円~
板長おまかせプラン:贅沢ディナーフルコース
1泊2食付き1万5120円~

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