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家族みんなの「癒し」になる旅、「レスパイト・ツーリズム」ってどんなもの?

家族みんなの「癒し」になる旅、「レスパイト・ツーリズム」ってどんなもの?

北海道では、心が晴れやかに、体も元気になる旅を「ケアツーリズム」と名づけて展開しようと考えています。そのケアツーリズムの1つ「レスパイト・ケアツーリズム(レスパイト・ツーリズム)」とは、病気や障がいを持つ人とその家族にとって「癒し」となる旅のこと。どんなものなのか、モニターツアーに同行してみました。

家族旅行に、リハビリのプロが同行してサポートしてくれる。

今回、モニターツアーに協力してくれたのはMさんご家族。ご主人が突然の脳出血で倒れ、その後遺症で全身の筋肉がうまく動かせなくなったそうです。支えがないと立ち上がることが難しく、一人ではうまく歩くことができないため、普段は電動車いすを使っています。「家族旅行にもよく出かけますが、療法士さんと一緒の旅は初めてなので、どんなふうになるのか楽しみです」と奥さん。


宿泊していた札幌市内の定山渓温泉のホテルのロビーで、Mさんをサポートしてくれる理学療法士(PT)さんと合流。今日のモニターツアーの行程を説明するとともに、PTさんは正しい介助のためにMさんの状態について最初にしっかりヒアリングします。


モニターツアーの最初のプログラムは、ここから車で40分ほどの場所にある施設での乗馬体験です。車への乗り降りも、状態に合わせてPTさんが介助してくれます。無事に乗り込んで、いざ出発!

家族みんなが笑顔になった、安心して楽しめる乗馬体験。

札幌市中央区盤渓にある「NPO法人 北海道障がい者乗馬センター」では、乗馬を通じて障がい者の自立支援への手助けとなることを目的とする「乗馬セラピー倶楽部」を運営しています。今回のモニターツアーでは、家族の乗馬体験をお願いしました。

NPO法人 北海道障がい者乗馬センター


ヘルメットとプロテクターを着用して、まずはMさんから乗馬体験スタート。PTさんから障がいの程度を聞いたインストラクターとボランティアスタッフが、Mさんをサポートしながら馬に乗せていきます。乗馬が初めてというMさんは、緊張からちょっと顔がこわばっているようです。


まずは馬そのものに慣れるため、馬場内をゆっくりと回ります。馬を引くインストラクターさんのほかに、左右に1名ずつ男性スタッフがついて落馬しないように支えてくれるので安心です。


Mさんの状態を見ながら、インストラクターさんは馬をだんだん速足にしていきます。すると、Mさんも背筋を伸ばしてしっかりと手綱を握り、馬の動きに合わせてバランスをとるように。「すごいですね、乗り始めの時とは体幹が全然違います」とPTさんも驚いていました。



「パパ、かっこいい!」Mさんの乗馬姿に、お子さんが大きな声をかけています。家族の声援を受けて、Mさんの表情もにこやかなものになりました。乗馬を通して身体の機能を回復することはもちろん、「やればできる」という自信と誇りを取り戻すことも、ホースセラピーの大きな目的なのだそうです。


続いて、奥さんとお子さんの体験乗馬。お子さんは乗馬を怖がって泣いてしまったものの、いざ乗り始めるとすぐにニコニコ顔に。もともとアクティブだという奥さんは初乗馬に大興奮で、スピードが上がると満面の笑みで「楽しい!」を連発。アクティビティを満喫する2人もそれを車イスから見守るMさんも、心をなごませる時間でした。




ホテルに戻って昼食をとっていると、家族の話題は自然に乗馬の話に。「最初はガチガチに緊張したけど、途中からは自然に乗れるようになったかな」というMさんに、「パパ、上手だったよ」とお子さん。奥さんが「わたしもすごく楽しかった。何度も大声で笑っちゃったくらい」というと、お子さんの「また乗りたい!」という元気な声が響きました。

久しぶりの温泉大浴場に、心も体も癒される大切なひととき。

続いてのプログラムは、大浴場での入浴体験です。特別にPTさんも衣服着用の上で男湯に。浴場の床は滑りやすいので、特に気をつけながら少しずつ移動します。


普段は自分で体を洗っているMさんですが、モニターツアーではすべてPTさんにおまかせです。「全身を洗ってもらうのは楽だし、とても気持ちいいですね」。


浴槽に入る際もPTさんが先行して、手すりなども使ってしっかり支えてもらいながらMさんがお湯の中に入ります。浴槽の中にある階段も滑りやすく危険なので、慎重に一歩一歩進みます。


お湯に入ってしまうと、浮力で移動がスムーズになります。「脳出血で倒れて以来、温泉の大浴場に入るのはこれが初めてです。大きなお風呂はやっぱり気持ちがいいですね」。Mさんと息子さん、親子水入らずの楽しい温泉体験です。


一方その頃、ホテルの売店でお土産を探したり、カフェでコーヒーを飲んだり、奥さんは一人の時間を満喫していました。「PTさんに安心してお任せできるので、久しぶりにのんびりできますね」。家族のこんな癒しのひとときも、レスパイト・ツーリズムの役割です。



内風呂の後、露天風呂にもチャレンジしてみました。ごつごつとした岩風呂になっていたり、床が凍っていたり、障がいを持つ人にはハードルが高いのが冬の露天風呂。PTさんはより慎重になって入浴を介助します。


「まさか露天風呂にも入れるとは思っていませんでした」とMさんもニッコリ。PTさんも「今回のモニターツアーでポイントがわかったので、より効果的なレスパイト・ツーリズムにしていきたいです」と語ってくれました。本人と家族のどちらにとっても癒しになる旅は、北海道旅行の新たなトレンドになるかもしれません。


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