1泊2日で旅できる!貴重な動植物と出合える離島、天売島・焼尻島

1泊2日で旅できる!貴重な動植物と出合える離島、天売島・焼尻島

いつかは行ってみたい北海道の離島。実は札幌や新千歳空港から1泊2日圏内で行ける離島があるのをご存知ですか? 羽幌町からフェリーで約1時間。国定公園に指定されている貴重な自然が多く残り、さまざまな野生動物と出合える天売島と焼尻島を旅してみよう。

天売島は、世界でも貴重な海鳥たちのパラダイス

天売島と焼尻島は日本海に仲良く浮かぶ小さな離島。どちらもほぼ同じ面積の島ですが、それぞれに異なる特徴があります。


天売島は日本海の荒波によって削られた断崖がそそり立ち、そこを繁殖地とする海鳥たちが多くいる野鳥の楽園。絶滅危惧種のオロロン鳥(ウミガラス)や、鮮やかな赤色の足を持つ世界でも稀少なケイマフリなど8種約100万羽の海鳥が春から夏にかけて生息し、島で新たな生命を育んでいます。中でもウトウの世界最大の繁殖地として知られています。さらに漁業が基幹産業で、新鮮な魚介も魅力。特に島近海でとれるウニは有名です。


一方、焼尻島は島の1/3が原生の森。約50種15万本の森は国の天然記念物に指定されていて、その森の先にはサフォーク種の羊が放牧されている牧草地が広がっています。スコットランドのような牧歌的な風景も見どころの一つで、潮風を受けたミネラル豊富な牧草を食べて育つ焼尻島のサフォークは、フランス産の高級ラム肉と肩を並べるほど美味しいと言われています。

札幌からバスとフェリー、約4時間で天売島へ

天売島・焼尻島に行くには、まず羽幌町のフェリーターミナルを目指します。


札幌からは、札幌駅前ターミナルから発着している高速バス「特急はぼろ号」で約3時間。羽幌町の「本社ターミナル」駅で下車し、「羽幌港連絡バス」に乗り換えて約10分で羽幌フェリーターミナルに到着します。


フェリーターミナルでは乗船券を購入し、観光案内所にも立ち寄りましょう。島の最新情報や観光パンフレット、野鳥ガイドが手に入るほか、5月〜9月は双眼鏡やチェアなどのレンタルも行っています。海鳥の観察に重宝する双眼鏡は、ここで借りておくのがおすすめです。


天売島・焼尻島を結ぶ羽幌沿海フェリーはGWと6月〜8月は1日4〜6往復。それ以外のシーズンは1〜2往復と運航ダイヤが季節で異なるので、出掛ける前に必ずチェックしましょう。


また、船はフェリーと高速船の2種類があり、フェリーは焼尻島まで60分、天売島まで約100分。高速船は焼尻島まで35分、天売島まで60分と、フェリーの半分ほどの時間でそれぞれの島へアクセスできます。


沿岸バス公式サイト

羽幌沿海フェリー公式サイト

自転車を借りて、天売島を一周しよう

天売島は西側にフェリーターミナルや住宅地、東側に野鳥が暮らす断崖絶壁が広がっています。全周12kmの島内を巡るには自転車が便利で、1時間半〜2時間で一周できます。


レンタルサイクル店は島に2軒。どちらもフェリーターミナルの裏手にあります。料金は半日1,000円〜で、「おろろんレンタル」では、電気自転車やスクーター、軽自動車もレンタルできます。

広い空と青い海が180度広がる絶景のパノラマ

天売島に着いたら、まず向かいたいのが「海の宇宙館」。自然写真家・寺沢孝毅氏が運営する展示施設で、館内には海鳥や島の自然に関する情報が広く紹介されています。ここで学んでおくと、島の散策がより楽しく、充実した時間になりますよ。


その後は、ぐるっと島を一周しながら天売島のシンボルでもある48mの垂直の岩がある「赤岩展望台」、50倍の無料望遠鏡で海鳥を観察できる「海鳥観察舎」、約140mの断崖絶壁の上にある「観音岬展望台」を巡るのが定番コース。


島では貴重な海鳥だけでなく、お馴染みのウミネコも多く繁殖していて、羽色がまだ白くない雛や子育てシーンも至るところで見ることができます。何より空と海の180度のパノラマと、色鮮やかな緑の断崖が織り成す風景は圧巻。透明度の高い海は“天売ブルー”と称したくなるほど青く、その美しさだけでも一見の価値ありです。


海の宇宙館公式サイト

島自慢のウニは、旅館で贅沢に味わいたい

天売島名物のウニは、島の飲食店でも食べられますが、できれば一泊して旅館でも味わいたい。前浜漁港近くにある萬屋旅館は、目の前に海がある絶好のロケーションに位置し、夕食にはウニをはじめ、タコ、ホタテ、アワビといった地元で獲れた新鮮な魚介を使った料理が並びます。


島近海で育ったウニは身が大きくて、ぷりっぷり。萬屋旅館では殻付きのウニが用意されていて、そのまま食べても良いですし、ご飯にのせて丼にして食べるのもおすすめです。新鮮で味が濃く、口に入れた瞬間にとろけますよ。


萬屋旅館サイト

夕刻の空に80万羽のウトウが舞う圧巻の世界

天売島では、昼は島を一周しながら海鳥の繁殖地を紹介してくれるガイドツアーや、漁船に乗って海から繁殖地を巡るツアーが楽しめます。


中でもウトウ帰巣ナイトガイドは、そのためだけに一泊するのをおすすめしたい、ここでしか体験できないツアーです。夕食後、午後7時に宿を出発して、日没が迫る赤岩展望台へ。地面には無数の巣穴があり、日没が近づくとウトウたちが雛の元へ一斉に戻って来ます。その数なんと最大80万羽!


今回訪れた7月下旬は、すでに多くのウトウが巣立っていたため、海から戻って来たのは8万羽ほどでしたが、それでも青空から夕焼け、漆黒の夜へと移り変わる空を背景に、無数のウトウが海から飛んで来る様子は壮観です。鳥たちの懸命に羽ばたく音が間近に聞こえ、自然界の営みの尊さも感じさせてくれます。定員制のツアーなので、旅行前に予約するのを忘れずに! 


Nature Live公式サイト

漁業で栄えた焼尻島で、往時の記憶に思いを馳せる

翌日は、船で30分の距離にある焼尻島へ。人口約170人の焼尻島は、天売島よりもゆるやかな時間が流れ、どこか昭和にタイムスリップしたような懐かしさもあって心が安らぎます。


訪れた際はフェリーターミナル近くの「焼尻郷土館」にも、ぜひ寄ってみてください。島の基幹産業である漁業に加え、呉服や雑貨商などを営み、島の郵便局や電信局も併設していた旧家がまるごと資料館になっていて、往時の歴史を今に伝えてくれます。


離島の建造物ながら、旧家の地元である石川県やイギリスなどから建材を取り寄せるなど随所にこだわりが感じられ、日本在来の建築様式に洋風を複合させた貴重な建物は道指定有形文化財にも指定されています。

観光タクシーのガイドで自然豊かな島を満喫

焼尻島の名所巡りには、フェリーターミナルまで送迎してくれて、島の歴史や情報をガイドしてくれる観光タクシーがおすすめです。最高のロケーションが広がる白浜キャンプ場や、天売島が目の前に見えて、焼尻島も360度見渡せる鷹の巣園地などを回りながら、島に暮らす人だからこそ知るリアルな声が聞けて、短時間ながら濃密に島を満喫できます。


国の天然記念物になっている自然林は散策路が整備され、ミズナラやナナカマドといった木々に加え、ここでしか見られない奇木があるのが魅力です。特に300年もの長きにわたる風雪に耐えてきた「オンコの荘」は必見。地を這うように低く植生する木々は自然界を生き抜く生命力にあふれ、心が洗われるような神秘的な光景が広がっています。


また、森を散策した後はめん羊牧場へ。運が良ければ、牧場で草を食むのんびりした羊たちに出合えます。

喧騒を離れ、ゆるやかな島時間を楽しもう

天売島・焼尻島には、ほかにもバードウォッチングや草花鑑賞が楽しめる森や、現役漁師が営む飲食店など、見どころ・食べどころがいっぱいあります。入荷状況によりますが、焼尻のサフォークも焼尻島のフェリーターミナル横にある「島っ子食堂」で味わえますよ。


何といっても、天売島・焼尻島はどちらも平坦で高い建物がないので空が広い!雄大な自然を体いっぱいに感じられますし、夜には満天の星空を見ることもできます。


忙しない時代の今だからこそ、札幌、そして新千歳空港から最も近い離島を旅して、ゆったりとした島時間を過ごしてみませんか。

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