旅が心と体を少しずつ動かし始める!「リハビリ&レスパイトツーリズム」の効果とは?

日常を離れ、多様な刺激を得られる旅は、心身の回復や休養のきっかけとして注目されています。今回は、北海道・十勝と登別を舞台に、介護が必要な方と、そのご家族・介護者が一緒に心身を整える旅「リハビリ&レスパイトツーリズム」のモデルツアーを実施。医療・介護の専門職、観光事業者、地域の人々と連携し、温泉地や自然環境といった北海道らしい資源を活かしたプログラムを体験しました。
【十勝/1日目】リハビリコース
初日のリハビリコースでは、中札内村にある「六花の森」を訪れました。10万㎡という広大な敷地内で、美しい草木や美術品が楽しめます。決まった順路はないので、歩行動作や姿勢バランスを意識しながら園内を散策してもらいました。
自然の地形と植生を活かした大自然と一体化しながら、心の赴くままに散策した参加者たち。森を五感で感じることで、心身のリフレッシュと身体機能の活性化を促すことができました。
【十勝/1日目】レスパイトコース
初日のレスパイトコースでは、上士幌町の「ナイタイテラス」を訪れ、筋膜はがしと脳活性プログラムを行いました。
小さなピンポン玉を使い、背中や肩の筋膜を刺激しながら、血流促進と脳の活性化を目的としたセルフケアを体験。あいにくの雨模様でしたが、自然の中での適度な運動をすることで、リラクゼーションと集中力アップの効果を得ることができました。

続いては、士幌町の「山岸牧場」に場所を移しての動物セラピー体験です。牧場主の奥様から動物との関わり方や命を育む現場の話を聞き、その後子牛へのミルクやり体験を行いました。
動物との直接的なふれあいを通して、参加者の表情が柔和になり、自然な笑顔が広がりました。生命との触れ合いがもたらす心理的な癒しと「共に生きる実感」を共有する貴重な時間となりました。
【十勝/2日目】レスパイトコース
宿泊先の十勝川温泉第一ホテル周辺で、早朝ウォークと朝ヨガを行いました。朝日を浴びながら適度に体を動かし、呼吸を整え、一日の活動に向けて心身をリセットするプログラムです。軽い運動による血流促進とストレッチで、参加者たちは「朝から動く心地よさ」と「一日の始まりの充実感」を得ていました。
【十勝/2日目】リハビリコース&レスパイトコース
当初、レスパイトコースの参加者はホテルで休養の予定でしたが、「リハビリコースに同行したい」との希望があり、全員で帯広市の「真鍋庭園」に出発しました。現地では車椅子対応のバギーチェアを活用し、散策と屋外プログラムを実施しました。
日本初のコニファーガーデンとして知られるこの庭園では、プラスチック製の竹とんぼを使った軽い運動と、車いすでも安全に参加できるロープストレッチプログラムを行いました。身体状況に応じて無理なく行える活動を通じて、笑顔や交流が生まれました。


続いて向かったのは、ばんえい競馬が開催される「帯広競馬場」です。参加者は、ポニーとのふれあいを通じて動物のぬくもりに触れ、場内の売店では地元の特産品を買い求めるなど、人気の観光スポットを楽しんでいました。

また昼食会場では、これまで介助を必要としていた参加者が、自らの意志で階段を登ることにチャレンジする姿も見られました。旅という楽しい非日常に身を置くことで、参加者の行動意欲が自然に引き出されたと考えられます。
【登別/1日目】リハビリコース
初日のリハビリコースでは、登別市にある人気水族館「登別マリンパークニクス」を訪れました。参加者は、水槽の中を泳ぐ生き物の動きや光・音の刺激を楽しむうちに自然と笑顔になり、落ち着いた雰囲気で観覧していました。
その後、屋外の広場へ移動。笑顔で穏やかに次の移動準備を整える参加者からは、旅の楽しさを共有する喜びが感じられました。
【登別/1日目】レスパイトコース
初日のレスパイトコースでは、登別温泉の「地獄谷」から「大湯沼」までの山道ウォーキングを行いました。温泉地特有の傾斜や地熱環境を活かした、歩行トレーニングと脳活性プログラムです。途中では、上肢筋を刺激するストレッチ運動も取り入れました。
登別の自然地形そのものが“地形療法”の教材となり、環境の変化が運動意欲や集中力を引き出す効果が見られました。
【十勝/2日目】リハビリコース&レスパイトコース
朝食前に、登別温泉街でモーニングアクティビティを行いました。ホテル前の緩やかな坂道や温泉街の平地を活用し、呼吸を整えながらのウォーキング。リハビリコースの参加者も平地では車いすを降り、自らの足で歩行に挑戦しました。
朝の冷たい空気と紅葉に包まれた環境が心身に好影響を与え、参加者からは「自分の力で動きたい」という意欲の高まりが見られました。温泉地の地形と自然環境が、リハビリ意欲を引き出す有効な要素であることがわかりました。
【十勝/2日目】レスパイトコース
朝食後のプログラムとして、専門講師によるセルフメンテナンス教室を開催。自宅や施設に戻ってからも実践できるよう、タオルを使ったストレッチや、脳活性を促す軽運動、筋刺激を目的としたレクリエーション、およびマッサージ法を体験形式で行いました。体験した参加者からは「自宅でも続けられそう」「体が軽くなった」などの声が聞かれました。
【十勝/2日目】リハビリコース
最後は、登別の代名詞「地獄谷」の散策です。車いすの参加者本人が「自分で歩いていく」と意思を示して、途中から自分の足で歩いて終点まで到達しました。
観光地の環境が、参加者の行動意欲につながった好例です。安全を確保しながらも本人の意思を尊重する支援が、“自立への一歩”を後押ししました。心理的・身体的なリハビリ効果を兼ね備えた、ケアツーリズムの価値を実感する場面でした。
リハビリ・レスパイト・ケアツーリズムの取組(令和7年度)
今回のモニターツアーでは、出発前・中・後に活動量やストレス、血圧、自律神経機能などを測定し、ツアーのプログラムや実施体制、健康効果などについても調査を行いました。その結果や詳細についての報告書は、下記からダウンロードできます。




















